ラクトフェリンとは 赤いタンパク質 「ラクトフェリン」は、1939年に発見されたもともと生体に存在する分子量約8万の鉄結合性の糖タンパク質で、鉄を引付けやすく、鉄と結合すると赤くなるため、「赤いタンパク質」とも呼ばれています。母乳、特に初乳に多く含まれ、乳児期でのウイルスや細菌の感染を防御する重要な役割を担っています。母乳で育った乳児が健康なのは、この「ラクトフェリン」のせいと考えられています。 多様な機能 「ラクトフェリン」は、牛乳から抽出した純度85.5%以上の高純度精製品であり、ヨーグルト、育児用調整粉乳に混入されて市販されていることからも明らかなように、安全性に関する危惧は全くありません。昨今の国内外の学術会議では、現代人に多く見られる様々な病気に関する「ラクトフェリン」の研究が盛んに報告され、注目を浴びています。実験動物モデルにおいて病原微生物及びウィルス感染に対する生体防御能の強化、種々の病態モデルにおける抗炎症作用、IgE産生抑制効果、化学発癌剤による発ガンの予防効果、ガン細胞による血管新生を阻害する効果等々、様々な免疫関連の生命現象をコントロールする機能が報告されています。最近、極微量の「ラクトフェリン」が内因性及び外因性オピオイドの鎮痛効果を増強することも明らかになりました。 「ラクトフェリン」の応用を研究対象とした疾病群 国際的な注目 「ラクトフェリン」に関しては、2年に1度国際会議が開かれており、1992年に第1回国際会議がハワイで開催されて以来、13回目を迎えた国際会議が2017年11月5日〜10日までイタリアのローマで開催されました。「ラクトフェリン」発見以来、世界中で数千に及ぶ論文が発表されていますが、「ラクトフェリン」の歯科臨床に関する論文は、1996年に佐藤保先生が歯周病患者に「ラクトフェリン」含漱剤で治療した例が日本歯科保存学会にて口頭ではじめて報告されました。 本研究会での臨床結果(腸溶性ラクトフェリンの実用化) 「ラクトフェリン」の多様な効果は分かっておりましたが、「ラクトフェリン」は、いくら摂取しても胃で分解されてしまうため、効果を捉えにくく、実用化が進みませんでした。 本研究会では、「ラクトフェリン」を直接、腸まで届かせる加工処理を施した「腸溶製剤」として2〜4週間摂取(0.25~0.5g/day)した東京医科歯科大学と昭和大学の臨床医やその患者さんからの体験談を集めたところ、使用前と比較して、起床時における"口の中のネバネバ感"や"口臭"等の不快感が減り、"口腔内の爽快感が高まった"等、歯科関連疾患の改善を示唆する例を多数認めました。この試験は前もって被検者に「ラクトフェリン」に関する情報を一切提供していませんでしたので、この体験談は暗示による偏りはありませんでした。そこで次に歯周疾患に罹患している患者さんから同意を得た後、「ラクトフェリン」を服用してもらい、唾液の変化、口腔内の湿潤度、歯肉の炎症の程度、口臭の測定などを実施し、有望な予防・治療法になりうることを確信いたしました。 また、「ラクトフェリン」の鎮痛効果を臨床応用するため、口腔貼付製剤「ラクパッチ」(ラクトフェリン含量:26mg/tab)として口内炎、舌痛症、口角炎、ドライソケット、褥創性潰瘍、咬傷等の局所に適用し、強い鎮痛効果とともに"炎症に対する消炎効果"、"口腔粘膜の修復促進効果"なども認めました。 歯科関連疾患への応用 従来、歯科疾患の予防は歯磨きを主体とされており、免疫賦活による歯科関連疾患の治療法は過去にも類例がありません。 「ラクトフェリン」のこれまでの研究が示すように、歯科関連疾患が口腔に定着する弱毒性の日和見病原微生物により惹起され、稀には心臓、肺、子宮などに定着しコロニーをつくるとすれば、それらを免疫的に排除する方法は最も合理的であります。 また、「ラクトフェリン」の鎮痛効果を活用する局所適用剤は、従来の治療法では容易に改善しなかった舌痛症や扁平苔鮮等の難治性口腔疾患などに苦しむ患者に新たな治療法を提供できる可能性を秘めております。 いずれも歯科関連疾患に苦しむ多くの国民にとって、大きな福音となる可能性があります。 |
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